離婚で不動産の名義変更が必要なケースと税金について
離婚が決まったとき、不動産の名義変更が必要になるケースがあります。
離婚では様々な話し合いがおこなわれますが、それらの中でもトラブルが起きやすいのが不動産に関しての取り扱いです。
離婚において、法的なルールがあるものはそれに準じて話し合われますが、不動産の取り扱いについては明確な法的ルールがありません。
そのため、離婚後までトラブルが続かないようしっかりと話し合い、必要な手続きを完結させておくことが大切です。
不動産の名義変更をした方が良いケース
不動産の名義には主に「夫の単独名義」「妻の単独名義」「夫と妻の共同名義(共有名義)」があります。
不動産の名義変更をした方が良いケースは以下の3つです。
1.夫名義の家に妻が住み続ける場合
2.妻名義の家に夫が住み続ける場合
3.共有名義の家に夫または妻の一方が住み続ける場合
名義人ではない人が住む場合(所有者となる場合)は名義変更をしておいた方が良いでしょう。
名義人でない人が住み続けることは可能ですが、トラブルが発生する可能性があります。
どのようなトラブルが考えられるのかは次で説明します。
名義変更をしないことで起きる可能性のあるトラブル
- 実質所有者が自由に売却できない
不動産を売却するときには、名義人の同意が必要となります。
そのため、その家に住んでいたとしても自由に売却することはできません。
それは共同名義(共有名義)の場合も同様です。
また、売却時に発生する現金をどのように扱うかでトラブルになる可能性もあります。
そのため、離婚後であっても名義人と連絡をとり売却について話し合う必要が出てきます。
- 知らない間に売却される
不動産を売却するためには名義人の同意が必要です。
逆にいえば、名義人は不動産を売却することが可能だということです。
そのため、住んでいる人の了承を得ず名義人が不動産を売却してしまう可能性があります。このような場合は、突然住む場所を失ってしまいます。
共同名義(共有名義)の場合でも、自分の名義の部分のみ売却することも考えられます。
離婚時に不動産の名義変更をするときの注意点
離婚の財産分与で不動産の名義変更をおこなう場合には法律上の要件があります。
・離婚届を提出すること
・夫婦での協議が整っていること
つまり夫婦できちんと話し合いを済ませ、協力することが必要です。
離婚を急いで名義変更が後回しになってしまうこともあるかもしれません。
もしも相手が名義変更の手続きに協力的でない場合は裁判所に訴えて処理を進めなければいけません。
しかも、裁判所で取り扱ってもらえるのは離婚届を提出してから2年を経過するまでとなっています。
もしも何らかの問題が起こった場合には、できるだけ早く弁護士や司法書士などの専門家に相談するようにしてください。
不動産の名義変更に必要な書類
単独名義の不動産を別の名義にする場合には『所有権移転登記』を行います。
共同名義の不動産を片方の単独名義にする場合には『持分移転登記』を行います。
この手続きに必要な書類は以下の通りです。
・登記事項証明書
・登記申請書
・不動産の権利証(または登記識別情報)
・登記原因証明情報(離婚協議書、財産分与協議書でも可能)
・固定資産評価証明書(または課税明細)
・離婚日の記載がある戸籍謄本(※夫婦どちらか一方でも可能)
・不動産を譲る側の印鑑証明書、実印
・不動産を受け取る側の住民票、認印
名義変更には複数の書類や煩雑な作業が必要となります。
そのため、司法書士など手続きのプロに依頼した方が安心です。
不動産にローンが残っている場合の名義変更
不動産にローンが残っている場合は、名義変更がさらに複雑になります。
離婚や名義変更とローンの債務者は別のものなので、金融機関への相談も必要になります。
名義変更は金融機関の承諾がなくても可能です。
ただし、契約に「承諾なしに名義変更をした場合には残りの債務を一括請求できる」という旨の条項がある場合があります。
そのため金融機関に相談をしておく方がリスクを回避することができます。
このように不動産にローンが残っている場合は、名義変更とローン債務者の手続きが必要となるため、司法書士などのプロにサポートしてもらった方がいいでしょう。
離婚にともなう名義変更にかかる税金
離婚の財産分与で名義変更をした場合の税金は以下の通りです。
■かならずかかる税金
・登録免許税
名義を変更したときに必ずかかる税金です。
■原則かからない税金
・贈与税
離婚による財産分与において基本的に贈与税はかかりません。
ただし、財産分与(または慰謝料)の範囲を超える場合には超えた部分に贈与税がかかる場合があります。
また、贈与税を逃れるために離婚をしたと判断された場合にも贈与税の対象になります。
・不動産所得税
不動産を新たに取得したときにかかる不動産所得税も基本的に課税されません。
贈与税と同様に、財産分与(または慰謝料)の範囲を超える場合や税を逃れるための離婚と判断された場合には課税対象となります。
■課税される可能性のある税金
・譲渡所得税
譲渡所得税は不動産を譲渡した利益にかかる税金です。
不動産を購入したときより、財産分与をおこなった時点の価値が大きく上回っている場合には譲渡した側に課税されることがあります。
ただし、譲渡所得控除があるので、多くの場合は課税されません。
不動産の売却にともなう名義変更について
離婚にともない、家(マンション)や土地などの不動産を売却することになった場合には売主(売却時点での名義人)から買主(売却後の名義人)への名義変更が必要になります。
『所有権移転登記』は、不動産が誰のものなのかを証明するためのものなので、速やかに手続きをすることが必要です。
離婚不動産ではスムーズな売却をおこなうために、まずは当社で不動産の買取をすることをおすすめしています。
名義変更の手続きなどは、当社と提携している司法書士が責任をもって行いますのでご安心下さい。